ネットフリックスって、なかなか観る時間取れないのにマイリストばかりが増えていきませんか。
積ん読みたいに、マイリスが充実していくことに満足感を覚える。
名高いレオンもその内の一つでした。が、絶対観た方がいいよ〜!と最近人に言われて、よし観るかとなった次第。
前評判というか、どうやら世界的に名作として知られているらしい認識があったので、もっと敷居が高い芸術映画みたいなのを想像していたけれど、そんなことはなかった。
血の繋がりは無いけど親子以上に絆があって、でも親子という言葉で定義づけできない情感に溢れた関係性。こういうのってレオンとマチルダが先駆けなんじゃないか?
麻薬取締局のスタンスフィールドもいい味出してる。だいぶ情緒不安定でキチガイっぽいし、クラシック好きっていうギャップもある。あと顔が結構かわいいと思う。
こう言うと矮小化されそうだけど、女オタクが好きそうな映画だ。
金曜ロードショーで放送しようものなら、ツイッターで二次創作が雨後の筍のように大発生するやつ。
※ここからは自分語り
マチルダって本当に、年の割にしっかりして大人びてるよな…
このシーンはグサッときた。
私は二十歳を過ぎても彼氏ができず、処女だった。
恥ずかしくてとても人には言えない。それはもうものすごいコンプレックスで、知人の恋人の話を聞いたりカップルとすれ違ったり、果てはドラマや小説の恋愛模様を見るだけで憂鬱だった。
生活の中心、自我の中心がコンプレックスで出来ていた。(今もそう)
親しい友人二人ほどにしか打ち明けなかったが、まあ周囲にはある程度察している人もいることと思う。
以前、度々集まって飲んでいた数人のグループの中に、一人ちょっと痴女っぽい子がいた。
その子に引っ張られて、飲み会の話題はいつも下ネタと恋愛だった。
聞いている分には害は無いものの、非常に肩身は狭かった。
本当は聞いているだけでつらかったけど。
あるとき例の痴女が「一年以上彼氏いないからずっとやってないよ~」と発言する。
私の向かいに座る女の子がそれを聞いて、「えーっ!」と言う。
そのとき、向かいの私は彼女と目が合った。
一瞬私を見て、すぐ逸らす。それから彼女は言った。
「一年以上やらないとか、耐えられない」
その日は号泣しながら帰途についた。後ろに涙をなびかせながらの爆走。
何の弁解だという感じだが、向かいの女の子のことを悪く言うつもりは一切ない。彼女は本当に気遣いに溢れた感じの良い人で、二人で話すときは私に合わせてネットの話とかをしてくれる。
されども、だからこそ、自分が惨めだ。誰も悪くない。誰も私を見下したりはしないし、ただ場違いなところへ居てしまっただけ。
というのが、コンプレックス刺激の中でもしんどかった部類のエピソードだ。
コンプレックス解消の意味では早く処女を捨てたかったが、一方で実際的にはセックスはしたくなかった。嫌悪感と恐怖が強い。
結局そちらの方が勝って、件のエピソード発生後もずっとなんとなくそのままでいた。
しかし、あるとき軽く性的暴行を受けてから形勢逆転した。
幸い加害者が途中で諦めてくれたので大事には至らなかった、のだが。
あれ。
別に怖くない。それから、そんなに嫌悪感も無い。
(というのは、そのときほとんど気絶する寸前まで朦朧としていたおかげだと思われる)
これはいけるんじゃね?
そうと決まればさっさと処女喪失だ。
そういうわけで、どうでもいい人とセックスした。
そのこととは何の関係もないが、「もっと自分を大事にした方がいいよ」と人から言われたことがあって、私は全然意味がわからなかった。
自分を大事にするって、何をしたらいいんだろう。自分にはそんな価値ないってずっと思ってきたから。
「初体験を大事にしたい」とか、マチルダみたいな華憐さ華奢さと若さを備えた少女が言うから様になるんであって、この歳でそんなこと言ってられないだろw
っていう冷笑的価値観が支配的。
でもそういうことじゃない、それが正しくないとかじゃなくて、人の生にまで市場原理を導入して需要が無ければ切り捨てるような価値観を、人間のデリケートな聖域に踏み込ませない。そうやって自分を守っていいということを、レオンを見て感じた。
生きている限り、淘汰されないように市場原理に従わなければいけない。
でもその一方で、人間である最後の砦として己の聖域は残したい。
バランスが難しいなあ。
このエントリも、着地点が難しい。
追記
久々に読み返し。当時はレオンは女オタクが好きそうって書いてるけど、最近は「感性をアップデートした」女オタクも増えてるから、マチルダは男目線の気持ち悪い歪んだ有害なキャラクター像ってことになって受け入れられなそうだななどと思った。