池澤夏樹の「終わりと始まり」を読んだ。
朝日新聞の夕刊のコラムをまとめて出版したという本。
「地名はその土地の地形やら古くからの由来がちゃんと根拠となって名付けられているものがいいなぁ」という回があった。
北海道に羊ヶ丘という地名があり、そこはちゃんと地形が丘だし、羊がつくのが異国情緒がありなんとも幻想的で良いと書いてあった。馬ヶ丘や牛ヶ丘ではこうはいかなかったろう、と。
自由が丘や希望ヶ丘なんかは地形からして丘でないし、自由だの希望だの抽象的だ(要は後から戦略的かつ人為的に付けられた地名はどうもいけすかないということらしい)
そういえば前NHKで、ニュータウン的に新しく開発された土地が「奏の杜」とかいうチャラい名付け方をされていて古くからの地元民は苦言を呈したといったニュースを見たことがある。
たかが地名くらい好きに付けたらええやん…偏屈だなぁと思ったものですが。
でも、思ったんですよね。これって、実在の文化風俗を研究してディティールをしっかり練ったファンタジーが面白いっていうのと同じなんじゃないかなと。
最近ラノベに異世界転生が多いのは単純に作者が現実世界を知らないからではないかって言う人がいたんだけども、得てしてそういうファンタジーは薄っぺらくなりやすい。
最近うっかりアマゾンをプライム会員になっていることに気づいてプライムビデオでゲームオブスローンズを観始めました。
小鬼ことティリオン・ラニスターが(誰が言ったかとかはどうでもいいが)朝食にカリカリのベーコンを所望するシーンがあります。
ところでこの間までシオドア・スタージョンっていうSF作家の小説をよく読んでいて、「夢見る宝石」という作品の中にも朝食にカリカリに焼いたベーコンを注文するくだりがある。
これらはディティールの中でも本当にどうでもいい類のディティールなわけですが、カリカリのベーコンっていうのはアメリカで好まれる食べ方らしいです。
ツイッターだったかな?「イギリス人は分厚いベーコンが好きで、アメリカ人のカリカリに焼いたベーコンをちょっと馬鹿にしている」ってどこかで誰かが言っていて。
スタージョンがアメリカの作家なのは知ってたけど、なるほど、ゲームオブスローンズの世界にもアメリカ的価値観が含有されていたのか。(というよりは、ティリオンの味覚はアメリカ人風だったということか)
対する分厚いベーコンというのはどんなものかといったら、真っ先に浮かぶのはかの有名なハウルの動く城の朝食。
ソフィーが城に侵入して、カルシファーに無理やり言うことを聞かせて料理をするとこあったよね。
このベーコンエッグほんと美味そう pic.twitter.com/m1VfVsaGN4
— るうど (@Yuzuliha812) September 14, 2017
うーん、厚い。うまそう。
これはイギリスの食文化がルーツだったんだな。たぶんそう…だよね?
でも私は、カリカリも分厚いのもどっちも好きです。